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宮川 和也; 青柳 和平; 赤木 俊文*; 山本 肇*
第15回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.609 - 614, 2021/01
高レベル放射性廃棄物の地層処分場の掘削により、坑道周辺岩盤の損傷や溶存ガスの発生等による不飽和領域の形成といった掘削影響領域が生じる。当該領域では、坑道内の大気が岩盤内に侵入し、岩盤や地下水が還元状態から酸化状態に変化する可能性がある。北海道幌延地域に位置する幌延深地層研究センターの地下施設ではこれまでに、坑道周辺の掘削影響領域における酸化の兆候は確認されていない。その理由として、地下水中の溶存ガスが遊離することで、岩盤内への酸素の侵入を抑制している可能性が指摘されている。本研究では、溶存ガスや地下水の移流・拡散を考慮した気液二相流解析を実施し、岩盤中への酸素の侵入メカニズムについて検討した。その結果、地下水中に含まれる溶存ガス量と岩盤の透水性が酸素の侵入に及ぼす影響は、同程度であることが分かった。坑道内の湿度が低下した場合、掘削損傷領域中の飽和度が大きく低下し、溶存ガスが多く含まれるような条件においても、岩盤中に比較的多くの酸素が侵入する結果が得られた。幌延の地下施設では、吹付コンクリートが岩盤壁面の湿度を高い状態で維持し、さらに酸素との接触を低減させていると考えられる。吹付コンクリートが無い場合は、坑道内の湿度は季節変動や換気状況により低下し、酸素が岩盤内に侵入すると考えられるが、実際の地下環境では黄鉄鉱の酸化反応などにより酸素が消費されると考えられる。
三嶌 星輝*; 緒方 奨*; 乾 徹*; 安原 英明*; 岸田 潔*; 青柳 和平
第15回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.215 - 220, 2021/01
高レベル放射性廃棄物地層処分施設の安全性を評価する上で、廃棄体処分坑道掘削時の天然バリア中の亀裂発生挙動の把握が不可欠である。そのためには、日本の地質の大半を占める結晶質岩及び堆積岩中の亀裂発生挙動を数値解析により正確に記述する必要がある。そこで本研究では、損傷モデルを用いて、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターの深度350mの調査坑道で実施された珪質泥岩への坑道掘削を模擬した数値解析を行い、実測された亀裂の発生範囲,破壊モード、坑道の内空変位に対する解析結果の整合性を検証した。解析結果より、坑道周辺に引張による無数の亀裂発生が確認され、その発生範囲及び破壊モードは実際の観察結果とよく合致していることが確認された。更に坑道の内空変位に関しても、解析値は実測値と比較して概ね妥当性のある結果を示した。
岡野 蒼*; 木本 和志*; 松井 裕哉
第15回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.633 - 636, 2021/01
花崗岩がマイクロクラックの配向のために音響異方性を示すこと、そのため、音響異方性の測定結果からマイクロクラックの配向性や密度を非破壊的に評価できる可能性があることはよく知られている。従来の岩石コア弾性波試験は、弾性波透過試験により音響異方性の評価が行われてきたが、この方法は現場計測や不整形な供試体への適用が難しい。そこで本研究では、表面波を使った花崗岩の音響異方性評価を試みた。具体的には、円柱状の花崗岩供試体端面に設置した超音波探触子で、供試体直径方向に伝播する表面波を励起させる。この方法により、送信方向を一定の角度で段階的に変化させたときの表面波振幅や速度、周波数の変化を見ることで、音響異方性の程度を調べた。その結果、マイクロクラックによる見かけの剛性変化に起因すると考えられる音響異方性が、表面波を計測することによって検出できることが示された。
鎌田 健人*; 奈良 禎太*; 松井 裕哉; 尾崎 裕介
第15回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.205 - 209, 2021/01
放射性廃棄物処分のようなプロジェクトを考える場合には、岩盤が有する物質の閉じ込め性能を評価することが重要であり、それに関して、岩盤内のき裂が透水性に及ぼす影響を調べることが必要不可欠である。しかし、き裂を含む泥岩の透水性の変化については未だ十分に研究されていない。そこで本研究では、北海道幌延地域に分布する泥岩の円柱形供試体に巨視き裂を導入し、透水性への影響を調べた。まず、圧裂引張試験によりき裂を導入した供試体に対して変水位透水試験を行い、透水係数を測定した。その後、トランジェントパルス法により測定したインタクトな供試体の透水係数と比較した。その結果、き裂導入により1オーダー程度の透水係数の上昇が確認された。本研究の結果から得られた透水係数の上昇の程度は、花崗岩や玄武岩などを用いた先行研究と比較すると小さい値であった。